「お茶を点てるのにどうしてこんなに時間をかけるの?」
茶道の「お点前」を初めて見た子から質問がありました。
茶道では、抹茶を点てる準備→点てる→片付ける、一連の所作のことを「点前(てまえ)」といい、
季節やお客さんに合わせてお道具組を変えて、いろんな種類のお点前を学んでいきます。
咄嗟の事で、
「大切な人を迎える時には時間をかけてお茶を出すんだよ」
とかなり抽象的なことを伝えてしまい、
生徒さんが「?」状態になっている光景が今でも頭をよぎります。
伝えることの大切さとともに、
伝えることの難しさを日々感じています・・・。
先日、大好きなお寿司屋さんに行った時のこと。
カウンター越しに、こちらの状況をみながら握ってくれ、
「どういうところから仕入れて、こんな調理をしました。」
と言ってくださったり、どれも食材が一番美味しい状態で提供してくださいました。
「なんて心地の良い空間をつくってくださっているのだろう。」
と感動しました。
茶道において、亭主(お茶を点てる人)も、板前さんのように、
「誰かのためを想って、一番美味しい状態でいただいてほしい」
と思う気持ちは同じなのかもしれません。
時間をかけてお点前をするということは、
その人の状況を「見る」時間なのかもしれません。
お客さんをじっと見つめるのではなく、じっくりとその空間を感じ取るということ。
お菓子を召し上がっていただくタイミング、お茶を点てるタイミング、
どれもその時その時によって状況が違います。
実際、行き届かないことも多いです。
だからこそ、
「どんな時にでも、相手のことを想って、相手にとって美味しいお茶を点てる」
ことを目標に点前を学び、お稽古を重ねていくのだとおもいます。
「どんな時でも」がなかなか難しく、
冷静でいようと思っても、予想外の出来事や突然のトラブルが起これば、焦ってしまうこともありますよね。
ですが、大切な人を迎える時に焦ったり、バタバタともてなしをしては、気持ちは通じ合えません。
だからこそ、事前に花を用意したり、お菓子を準備したり、道具を準備したり、点前を通して自分と向き合うことは、
自分の気持ちを落ち着かせることにもつながるのかもしれません。
お茶のお稽古やどんな習い事であっても、
いろんな人との関わりの中で、その空間がつくられていきます。
みなさん、貴重な時間を割いて、また一緒に過ごす仲間の時間をいただいて、
その場を過ごしています。
そのことに感謝の気持ちを持つことができたら、
時間を大切にできたり、人に優しくなれるのかもしれません。
私もいつも考えます、茶道ってなんだろうと。
お茶のお稽古は、本質のところをいつも思い返させてくれます。
小学生のこどもたちのクラスがスタートして、はや8ヶ月。
お湯が怖かった子も、克服できたり、
生徒さん同士が学び合い、他の子の失敗をフォローしてくれたり、
一人ひとりの成長を感じさせていただきました。
「ひよこのおちゃ育」の場は私にとってもかけがえのない空間になっています。
**************************************************
ひよこのおちゃ育
代表講師 ひよ 茶織
hiyokoan145@gmail.com
Instagram